宇沢弘文「経済学は人びとを幸福にできるか」

幸福にできる訳ねーじゃん、アホか、だと終わる。
で。ま、宇沢さんはホントのエリートで、ケンブリッジケインズの死後も続いた、ごくごくインナーな会合、ケインズサーカスに参加し、ロビンズの攻撃性にドン引きするという、ホントのエリート。シカゴでも、あの有名なナイトのフリードマンはもう弟子じゃねー宣言証言が。ここはスルーどこで。
まあ要はナイトの内輪話できるぐらい、ごくごくインナーだったと。そしてそれは、ぶっちゃけ数学が抜きんでたと。思想的には古き良きエリート主義リベラルで、現在的なフックがナッシング。でも、世界的なuzawaが、冗談でもないから、タチ悪いと。

自分がこの本の白眉とするは、アメリカの知的伝統、古き良きものがベトナム戦争で死んだこと、それも良心的で誠実な人々が、ノイローゼなって、失業して、刑務所入って、頑張って、でも完全に負けたこと。ここからは、アメリカンの根性ハンパない人々が闘って負けたから、日本で似たようなことしてみるとか、無理すぎると。

そしてアメリカでベトナム戦争反戦運動の関わりで、シカゴ大学が大いに闘って、大いに負けて、その頃のヒップな人が安部公房大江健三郎を読んでたと。すげー先端だったと。大江健三郎はまあ、アメリカンなわかりやすさがあったが、安部はディープな秘教、毒だったと。ここはすげーなあ、と。

あとホビットの冒険は、左翼文学だと。ここら辺は、ネジレと抑圧で、イギリスにおけるファンタジー小説も同様の裏があるらしい。

あと宇沢は、根っからのリベラルで天皇陛下には、ソンスウの念もなかったが、一生懸命、支離滅裂になったかと思いつつ自分の学問を説明したら、陛下が「君は経済、経済言うけども、人間の心が大事だと言いたいのだね」とまとめられ、すっかり転向、コペルニクス的転向(自分の学問をという意味で)をしたらしい。

まあ、宇沢さんは天然で、天才で、やっぱ天然だった。