中国崩壊か繁栄か!? 副島隆彦・石平

中国 崩壊か 繁栄か!? 殴り合い激論

中国 崩壊か 繁栄か!? 殴り合い激論

以下に内容を纏める。超訳的まとめでもあるので、原典でお確かめを。

1.弁証法の国
中国は弁証法の国である。アメリカとロジックを共有する国である。中国政治は、北京政治エリートと上海閥の経済エリートの相克の弁証法で展開する。

北京が引き締め派だ。上海が緩和派。呼吸の要諦、引き締めと緩み。

弁証法である。日本は、弁証法ではない。真偽を曖昧化する独自の情報システムがある。

北京は、中国共産党青年団共青団が仕切る。これは太子党と呼ばれ、二世集団、つまりはチルドレンズである。日本との類似に注意。

上海閥は、経済であり、黒社会、幇である。絆である。

政治と経済が、相克し、歴史が展開する。

ここまでは、中国がいかに、西欧とロジックを共有する世界か、帝国、エンパイアであるかという素描である。

2.日本に学べ
ここからは、いかに中国が日本から、学んだかを、示す。証明問題というより、状況証拠からの推認のような感じだ。

なぜ日本から、学ぶか。西欧化したアジアの国の研究により、中国の西欧化を完璧にし、防御、攻撃に遺漏なきを期するためだ。

中国は、政治論争、路線対立から、金銭スキャンダルの検察・警察の摘発による、政敵抹殺術を学んだ。

中国は、反体制派知識人(中国の場合、民主化、反共産主義を指す)を天安門事件以降骨抜きにする手法を日本から学んだ。西欧に海外留学させ、洋務派に転向させる。完璧だ。

中国は、プラザ合意などから、アメリカがどう試合を優勢にひっくり返していくのか、その手順を学習した。そこで、防御術が完璧となった。

3.中国思想のエンジン リベンジ
中国の政治思想の中心はリベンジ、アヘン戦争へのリベンジである。自虐史観の対西欧バージョン、DEEPな自虐だ。日本は、リベンジのための練習問題として、活用される。

4.中国アリ地獄
中国人ほど、マルクスを研究してる人々はいない。シビアな使役論として。外国資本を招き入れる、そしてアリ地獄のように嵌めて、吸い取る、搾取する。これが中国の、資本の原始的蓄積となる。これはアヘン戦争、リベンジ、引き込みバージョンだ。

5.中国の恐ろしさ
ここが本書で一番、驚いた部分。副島氏の、中国のぼんやり見えてきた未来は、アキハバラ、ゲーム、アニメ、オタクを、中国共産党が取り込んだ、腹に収めた未来。
副島氏は、私は大嫌いなんだが、今後、全世界を制覇するかも知れぬ、そのイヤな文化を、中国共産党が、飲み下したと。ここは、副島氏の非凡なる慧眼。


以上が、私が気になった部分の超まとめ。

中国とアメリカ、G2のチェスが始まってると。中国の優位は、アメリカ国債を買い捲ることで、担保がある。担保がある以上、最後は勝つ、が副島氏の見立て。

中国とアメリカはロジックを共有した、理解し合える好敵手。チェスを指している。日本のことは、わからなかったので、ルールを変更した。プラザ合意、構造協議などを通じてルールを飲ませて、なんとかわかるように(攻撃しやすいように)した。

世界戦略上は、冷戦と言う、アメリカ、ソ連のチェスがあった。それがG2のチェスとなる。これはロジックが共有されているからだ。

最終的には、関心は日本論となる。日本はアメリカと、ロジックを共有していなかった。でもなぜか、日本が強い時期があった、そこでルール変更、土俵を、マットに変える、色つき柔道着を着せた。これは異質なものを、ルールに従わせたわけだ。

中国論つまりは、世界の弁証法論、G2論、中国、アメリカの世界統治論。

しかし私がこの本から得た示唆は、日本は客観性のない、客観的分析もない。しかしアメリカと似ていると誤解してしまう、稀有な自己催眠国家ではと。

自己催眠、都合よく、催眠に入ってしまう。だから客観的な情報分析ではなく、自己催眠による、自己コントロールで、突破してきたのではという示唆だ。

これは、日本における学問とは、という問いにも繋がる。自己催眠とは、アート、芸術家の資質だ。日本において、厳しく真偽を追及することが、なぜか無駄であるような直観が、常に随伴する。遅れているからではない。日本はそもそも、ロジックで動く、情報分析で動く(これは中国とアメリカに共有されている)のではなく、超主観的な、自己催眠で、確信を高めて動いていく。凝集力の高い芸術家的な国家ではと。

超主観性で動いて、勝つときもあれば、負けるときもある。一貫して、客観的な分析はない。客観情勢に左右されない、超主観的な、自己催眠力を、どう生かしていくのか、これが日本の課題では、と思う。最終的には、日本論の示唆を得た。