『太陽と地球のふしぎな関係』上出洋介

太陽と地球のふしぎな関係―絶対君主と無力なしもべ (ブルーバックス)

太陽と地球のふしぎな関係―絶対君主と無力なしもべ (ブルーバックス)

自分の関心である、地球上のロジックシステムの失調という設定に示唆を与える著作。

コンピューター、そして人間の認識システム(人間の脳も量子力学的なコンピューティングシステムであることを想定)の壊乱が、根本的には太陽系システムの変容によるものでは?、という関心から、読んでみた。システムは上部システムから決定されるのは、栗本ーポランニー理論における定理のようなものだ。あらゆるシステムはその内部的な要素連関に加え、それを包む上位システムの変容から、直接的な影響を受ける。まあ、当たり前な、思考法ではある。

さて、本書のポイントを。


・宇宙の構造を調べるには、温度の概念が重要。
太陽はプラズマでできている
プラズマとは、「同量のイオンと電子からなる電離気体
・人体からは赤外線エネルギーが出ている。あらゆる物体はエネルギーを発する。
太陽黒点は周りより温度が低い部分。温度が低い黒点は、磁場が強い領域。磁場が強く太陽中心部からのエネルギーの上昇を阻害。
太陽黒点の増減周期は11年。太陽磁極反転は11年周期!(超重要!)
・地球の磁極反転は、数万年単位。
・フレアとは太陽面爆発、水爆1億個以上の高エネルギーガスが放射。
・フレアの高エネルギーは、磁場エネルギーが運動エネルギーに変換される現象。
地震とは地球内部の高エネルギーが宇宙へ戻る途中で、バランスが崩れプレートが動く。
地球の磁力低下は年0.07%、このままなら1200年で磁場ゼロに
・地球の太陽からのバリアは大気と磁場。
地球の磁場は、高エネルギー宇宙線の軌道をまげ、地球を守る。
宇宙は電気の世界(重要!)、地球は電気的に中性(アース!)
・オーロラは、太陽風が南向きの磁場を運んでくる時、地球磁場とのリコネクション(なんと!なつかしのぅ!)が発生し、「磁気圏の窓が開く」、そして太陽風プラズマの侵入が起こる(聖なる侵入?)。そのプラズマが、プラズマシートに溜まり、「あるきっかけ」で、極地の大気へ降下する。その磁力線が大気と衝突し、オーロラ光を放電する。
電磁流体力学のMHD発電。それは太陽風に伴う太陽磁場と地球磁場のリコネが生じ、そこをプラズマが通過すると、太陽風ー電磁圏ー電離圏の大電気回路が発生。巨大電力が発生する。
・磁気嵐の発生による人工衛星の電気回路の故障。高エネルギー粒子が、電気回路の絶縁体に帯電。放電現象を起こし、電気回路が誤作動。
・地球磁場の異常、ブラジル上空の、「ブラジル異常」。
太陽高エネルギー粒子の飛来は、ここ20年では、年一回から3回ペース
国際宇宙ステーションでは、15時間に一回、パソコンソフトが誤作動。
・磁力と生物。走磁性細菌
磁場逆転時には磁場が弱くなる、宇宙線流入が加速
・地球の磁場発生メカニズムには定説はない。有力説は自励ダイナモ。地球内部の高温度の鉄が熱対流を起こし、磁場が発生。
磁場の逆転は、マントル熱対流のシミュレーションでは、突然カオス的に発生することは十分に考えられる(重要!)。
・磁場と生命。発生生物学における雌雄決定。
磁場はデフォルトの条件。その条件下での生命の発生。血液、リンパ液などはイオンを含む電導性流体。電磁気学的な作用、反作用が生じる。
細胞の生体膜におけるイオンチャネル。電位差によって透過。磁場と生命の関連
銀河宇宙線はシャワーのように降り注ぐ。
・太陽活動が活発だと、フレア発生、プラズマ雲の発生。銀河宇宙線を阻害。
・地球は氷河期、つまり太陽活動が穏やかな時がデフォルト。間氷期、つまり暖かいときは、少ない。間氷期に入ったのは、7000年前。


まとめだけで、てんこもりだ。
地球磁場の発生メカニズムに定説が確立していないが、有力説は、地球内部の超高温の鉄のマントル対流で、起電する自励ダイナモにより、地球磁場が発生

シミュレーションでは磁場反転は、カオス現象。安心・安全!はない。
太陽の磁場逆転は11年。これが驚きの事実。押して知るべし!

菅直人もびっくりの、電磁流体力学のMHD巨大発電。大電気回路の発生!すごすぎ!

で、電気回路の故障、ロジック回路は、高エネルギー粒子の流入で、故障。

生命と磁場の、密接な関係性は、生命における水の役割。水のイオンによる電磁流体的、起電力に関連。生命は細胞膜におけるイオンチャネルを通じ、電気的なポテンシャルの壁を基礎に置いている。
生命と磁気、電気は超密接に関係

太陽活動の活性化による高エネルギー粒子の流入や、地球の磁場が弱くなることでの、高エネルギー粒子の流入加速。つまり高エネルギー粒子の流入が、加速する現象が観測。

高エネルギー粒子の流入は、「電気回路」と「生命」に直接影響する。

変容は、まあ自然だ。太陽系のスケールで、安心安全はありえない。


乱流、乱気流に乗ること。乱流をサーフする。ジェリー・ロペスのように。