論文評『中枢ATPレセプタ ーに関 して』井上 和秀 著

http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=fpj1944&cdvol=110&noissue=4&startpage=173&chr=ja

<要約>

ATP分子が脳における情報伝達を担うことが認知された
ATP受容体mRNAの発現
ATPによる神経伝達が証明された部位は、手綱核と海馬
イオンチャネル内臓型ATP受容体 P2Xn
・p2X1 脊髄 X2 脊髄、視床視床下部、青班核、延髄腹背側核
・X3 三叉神経、後根神経節および下神経節の知覚ニューロン(痛みと関連?)
・X4 X6 脳内に広く分布 X7 免疫系細胞や肺、脾、ミクログリア、上位脳、脊髄
イオンチャネル内蔵型 ATPを介する速いシナプス伝達に寄与
・ATP刺激によりチャネルは活性化され、細胞外からNa+,Ca2+を流入させ、細胞内からK+の流出を促す。その結果、細胞内Ca2+濃度は上昇し、細胞膜電位は脱分極を呈する
・Gタンパク共役型ATP受容体(P2Yn)
・P2Y1 終脳、間脳および中脳基底核群、小脳の穎粒細胞およびプルキンエ細胞
・Y2 下垂体
・P2Ynは広範な部位に発現 遅い神経伝達
・ATP受容体はドパミン、アデノシン、セロトニンなどにより制御
亜鉛は大脳皮質や海馬に高濃度に存在し、シナプス小胞 内にイオンの形で貯蔵され、しかも興奮刺激に応じて放出されるという非常に興味深い金属イオン
亜鉛シナプス間隙でATPと共存する可能性 イオンチャネル内蔵型の神経伝達を増強
・電位依存性Ca2+チャネル(VGC)
・神経伝達において、VGCは重要
ATPはVGCに対し、興奮と抑制 海馬では活性化

<評>
ATP受容体は海馬、脊髄、延髄など、原始的?な部位で活発に作用。
神経伝達物質は、ATP受容体を制御、修飾する。ドーパミンノルアドレナリンは制御系としてみる。ATP受容体が実体。亜鉛は金属イオンであり、この金属イオンが脳内で、ATP受容体を制御する。電位依存性のカルシウムチャネルが重要。イオンチャネルによる情報伝達。電位差による、そしてイオン。