論文評『脊髄ミクログリアの ATP 受容体を介する 新しい神経因性疼痛メカニズム』津田 誠 著

http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/129/5/349/_pdf/-char/ja

<要約>

神経因性疼痛は、触覚刺激で激烈な痛みを誘発するアロディニア(異痛症とも呼ぶ)が特徴的
・神経を損傷した神経因性疼痛モデルにおいて出現するアロディニアは、イオンチャネル型 ATP 受容体(P2X)の拮抗薬および P2X4 受容体アンチセンスオリゴの脊髄内投与で抑制
・ATP が“痛み物質”であろうという可能性は、今からおよそ 30 年前にヒトで報告
ミクログリアは、骨髄由来単核細胞の前駆細胞血液脳関門の不完全な時期に中枢に移行して、そこで成熟を遂げた細胞であると想定
ミクログリアは中枢神経系細胞の 5〜20%を占める
・末梢神経損傷による脊髄ミクログリアの活性化が生じる
・P2X4 受容体を活性化したミクログリア細胞を正常ラットの脊髄腔内へ投与することにより著明なアロディニアが発症
神経因性疼痛に対して「相関性」のみが示されていた脊髄ミクログリアが初めて「因果性」を有すること示唆
・P2X4 受容体を活性化するATPの放出源は、ミクログリアの近傍にある神経かアストロサイトであろうと予想
・ATP刺激によりミクログリアから放出されるBDNFが、神経因性疼痛に必要なミクログリア神経細胞間のシグナル分子であることを示唆


<評>

ATPが痛み物質、ATPは最強やなぁ。

ミクログリア血液脳関門を突破した、骨髄由来細胞ちゅうのも、シサやのぅ。

受容体の過剰な活性化、制御から外れた動きが、遺憾のぅ。